以前に「WHOが推奨する被爆時における対策」
http://ugunderground.seesaa.net/article/244295803.htmlと言う題名の記事で、WHO(世界保健機構)の公式サイトに英語のみで記載されておりました、被曝してしまった場合の対策に関する記事を翻訳して、当災害対策情報局にて掲載致しました。
今回は、WHO(世界保健機構)自身が翻訳した原子力に関する記事を見つけましたので、メモ的な意味も含めて当サイトにアーカイブ致します。
事故当時原子炉付近にいた人々、および日本の他の地域にいた人々に対する日本での放射線関連健康問題の現在のリスクとは何か。
・ 日本政府が講じている措置は、公衆衛生の専門知識に基づく既存の勧告に沿ったものである。政府は、福島第一原子力発電所から 20km 以内の住民に対して避難することを要請し、20km から 30km の住民に対しては無換気の部屋に屋内退避することを要請している。遠方の住民は、近隣の住民よりもリスクが低い。
・ この発電所でさらに事故が起きた場合は上記の評価が変わる可能性があるので、WHOは状況を注意深く見守っている。しかし、放射線関連健康影響は被ばく線量によってさまざまである。被ばく線量もまた、原子炉から放出された放射線量、爆発時の風雨などの気象条件、発電所から被ばく者までの距離、および被ばく者が照射区域にいた時間の合計によって左右される。
電離放射線
電離放射線とは何か。
・ 特定の原子が分解する際、自然の状態か人工的な状況かを問わず、その原子は電離放射線(IR)と呼ばれる一種のエネルギーを放出する。このエネルギーは、電磁波(ガンマ線または X 線)または粒子線(中性子線、ベータ線またはアルファ線)のいずれかの形
で進む。・ 放射線を放射する原子を放射性核種という。すなわち、放射性ヨウ素、セシウム、プルトニウムなどである。
・ 電離放射線は医学分野の診断および治療に不可欠のツールであり、安全のために徹底した注意を払って使用しなければならない。
・ 放射性核種によって放出されるエネルギーが半分まで減少するのに必要な時間(つまり、「半減期」)は、原子の種類によって 1 秒の何分の 1 から数百万年までに及ぶ。電離放射線への人間の被ばく
人は日常的に電離放射線に被ばくしているのか。
・ 人間は日常の中で自然放射線に被ばくしている。こうした放射線は、土壌、水、および空気中に見られる自然放射性物質のほか、宇宙(宇宙線)に由来するものである。ラドンガスは自然発生ガスであるが、これが主な天然線源の放射線である。
・ また、人は人工線源による放射線にも被ばくすることがある。今日、最も一般的な電離
放射線の人工線源は、X 線機器などの特定の医療装置である。
・ 放射線量は、シーベルト(Sievert)(Sv)の単位で表すことができる。平均して、人は 1年間におよそ 3.0mSv 被ばくしており、そのうち 80%(2.4mSv)は天然放射線源によるもの(つまりバックグラウンド放射線)、19.6%(0.6mSV 弱)は医療用放射線によるも
のであり、残りの 0.4%(約 0.01mSv)が他の人工放射線源によるものである。
・ 世界の一部地域では、その地域の地質に差異があるため自然放射線への被ばくレベルが異なっている。ある地域の人々は、世界平均の200倍以上の被ばくを受ける場合がある。人はどのようにして電離放射線に被ばくするのか。
・ 電離放射線は、人体の内外の線源(つまり、外部照射または体内汚染)に由来して生じると考えられる。
・ 体内汚染は、放射性物質を吸い込むまたは飲みこむことによるか、もしくは傷口の汚染によって生じる可能性がある。
・ 体外汚染は、人が X 線などの外部線源に被ばくした際、または放射性物質(埃、液体、煙霧など)が皮膚または衣服に付着した際に生じる。この種の汚染は、身体から洗い落とすことができる場合が多い。
原子力発電所の事故があった場合、どのような種類の放射線被ばくが起こりうるか。
・ 原子力発電所が適正に機能していない場合、放射能は原子炉内部で生成された物質の混合物(原子核分裂生成物)によって周辺区域に放出される恐れがある。健康リスクを示す主な放射性核種は、放射性セシウムおよび放射性ヨウ素である。一般の人々は、浮遊した大気中のそのような放射性核種に直接被ばくする恐れがあるほか、飲食物がそうした放射性核種に汚染されている場合に被ばくする恐れがある。
・ 救助者、第一対応者、原子力発電所(NPP)作業員は、その専門活動のために高い放射線量に被ばくするおそれがあるほか、発電所内部の放射性物質に直接被ばくする恐れがある。
健康影響
放射線被ばくによる急性の健康影響は何か。
・ 放射線量が特定の閾値を越えている場合、皮膚の発赤、脱毛、放射線によるやけど、および急性放射線症(ARS1)などの急性影響を生じることがある。
・ 原発事故の場合、一般住民がこうした影響を生じるほどの高い線量に被ばくする可能性は低い。
・ 救助者、第一対応者、および原発作業員は、急性影響を引き起こすに十分な線量を被ばくする可能性が高い。
放射線被ばくから予想される長期的影響とは何か。
・ 放射線被ばくはがんのリスクを高める可能性がある。日本の原爆被災者においては、放射線被ばく後数年してから白血病のリスクが高まった。また、被ばく後10年以上経過してから、他のがんのリスクが高まった。
・ 放射線被ばく後の甲状腺がんのリスクは、子供および 10 代後半、若年成人で高い。
公衆衛生措置
最も重要な公衆衛生措置は何か。
・ 健康影響は、放射線に被ばくしてはじめて発生するため、取ることのできる主な防護措置は被ばくの防止である。放射線に最も近い人々に被ばくの最大リスクがあり、距離が離れるほどリスクは低くなる。そのため、原子力事故が発生した場合、推奨される公衆衛生措置には現場周辺の人々の避難および遮蔽が含まれる。
・ 上記のような必要とされる措置は、推定被ばく線量によって異なる。(つまり、大気および風雨などの主な気象状況の中で放射された放射能の量。この措置には、発電所からの特定の距離内にいる人々の避難、被ばくを軽減させるための避難所の提供、および甲状腺がんのリスクを軽減するために服用するヨウ素剤の提供などの段階がある。)
・ 正当化される場合には、発電所周辺で作られた野菜および乳製品の消費制限の消費制限などの方法によって被ばくを軽減することができる。
・ 緊急事態の入念な分析を実施した経験のある所管官庁のみが、どのような公衆衛生対策を講じるべきかを提言する立場にある。
個人の防護対策
どのように自分の身を守ることができるか。
・ 正確かつ信頼できる情報(例えば、ラジオ、テレビ、またはインターネットによって放送される当局からの情報)を得ることにより、自分と自分の家族への情報を欠かさず、政府の指示に常に従う。
・ 食糧備蓄またはヨウ化カリウム剤の服用を決める際は、そうした方法を保証するに十分な根拠があるかどうかを判断するのに最適な立場にある国の保健機関が提供する情報に基づくべきである。
自分が高レベルの放射線に被ばくしてしまったら、どうすればよいか?
・ 高い放射線被ばくを受けた後に屋内に入ろうとする場合、自分の住居内に汚染が広がるのを防ぐため、玄関前で衣服を脱ぐこと。衣類を脱いでビニール袋に入れたら密封し、生活範囲、子どもおよびペットから離れた安全な場所に置くべきである。
・ 温かいお湯(熱湯でなく)と石鹸を使い、シャワーまたは入浴すること。
・ 汚染された可能性のある衣類と身の回り品を所持している旨を当局に通知し、予め決められた国の手順に従って適切に処理すること。
屋内退避を勧告された場合、このことは何を意味しているのか。
・ 放射線または原子力事象が発生する場合、公衆衛生当局は被害地域の住民に対し、避難ではなく屋内退避を命じることがある。自宅、職場、または公共の避難所に退避することを要請される場合がある。この勧告は通常、放射線への被ばくから人々を保護するために出されるものである。・ 屋内退避を勧告されている場合、自宅または事務所用ビル内で最も安全な部屋を探すべきである。可能であれば、窓や外部につながる扉のない部屋が望ましい。冷暖房などの換気設備は停止すべきである。
・ 気温が氷点下の場合、保温することが重要である。しかし自宅、職場または他の建物への避難が指示されている場合、保温のためにガス、石炭、木材などの燃料を燃やすのは安全でないこともある。適切に換気が行えない室内では一酸化炭素中毒が発生する恐れがあるためである。利用できるのであれば、電気式暖房が安全である。
・ 屋内退避によって、外部被ばくおよび放射性物質の吸入から防護される。
ヨウ化カリウム剤とは何か。
・ ヨウ化カリウム剤は安定ヨウ素(つまり非放射性)の供給源のひとつである。甲状腺は、甲状腺ホルモンの生成にヨウ素を必要とする。体内に適当量の安定ヨウ素が存在することで、甲状腺が放射性ヨウ素を吸収するのを遮断することができ、放射性ヨウ素への被ばくから生じる恐れのある甲状腺がんのリスクが軽減する。
・ ヨウ化カリウム剤は「放射線の解毒剤」ではない。ヨウ化カリウム剤は外部放射線から身を守るものではなく、放射性ヨウ素に加えその他一切の放射性物質から身を守るものでもない。また、ヨウ化カリウム剤は腎臓の機能不良の人などの一部の人には合併症を生じる恐れがあるため、ヨウ化カリウム剤の服用は、この方法を取る明白な公衆衛生の推奨がある場合にのみ開始すべきである。
いつ、どのような理由でヨウ化カリウム剤を服用すべきか。
• ヨウ化カリウム剤は、国の保健機関による勧告がある場合にのみ服用すべきである。放射性ヨウ素に被ばくするリスクがある、またはすでに被ばくした場合、甲状腺を放射性ヨウ素の吸収から守るため、ヨウ化カリウム剤が与えられる。被ばく前、または被ばく直後に投与されると、それによって長期的な甲状腺がんのリスクを軽減できる。
放射線から身を守るため、ヨウ素添加塩を摂取すべきか。
• いいえ、放射線から身を守るためにヨウ素添加塩を摂取すべきではない。体内の安定ヨウ素量を増加させるためにヨウ素添加塩を大量に摂取するのは危険である。
• ヨウ素添加塩の日常摂取量を増加させることは、有害無益である。ヨウ素添加塩の主成分は塩化ナトリウムで、高血圧やその他の内科的疾患に結びつくものである。ヨウ素添加塩のヨウ素含有量はきわめて低く、放射性ヨウ素の体内摂取を防ぐことはできない。
• 塩化ナトリウムは大量に摂取すると急性中毒を起こす。スプーン1杯の塩でも、短期間に繰り返し摂取すれば中毒を起こす恐れがある。
他の形状のヨウ素を摂取できるか。
• いいえ、国の保健機関が推奨する薬剤以外には、ヨウ素を含む製品を摂取すべきではない。
• ヨウ素はさまざまな家庭用品および工業製品に多数見られるものである。例えば、消毒剤、防腐剤、および浄水剤に使われている。こうした製品には飲みこむと有害な他の成分が含まれているため、ヨウ化カリウム剤の代替品として摂取すべきではない。
妊婦はヨウ化カリウム剤を服用できるか。
• はい、妊婦の多くは国の保健機関の指示に従ってヨウ化カリウム剤を服用できる。ヨウ化カリウム剤は胎盤を通り、母親だけでなく成長中の胎児の甲状腺も保護する。
母乳育児中の女性はヨウ化カリウム剤を服用できるか。
• はい、母乳育児中の女性の多くは国の保健機関の指示に従ってヨウ化カリウム剤を服用できる。
食品の安全性
日本から輸入された食品を食べても安全か。
• 緊急事態以前に出荷された食品は影響を受けていない。食品の安全問題は、福島第一原子力発電所周辺の被害地域産の食品に限定される。報告されている安全対策、冬期であること、および地震とその結果起きた津波を考え合わせると、当該地域で輸出向けの食品製造および収穫が行われているとは考えられない。日本の当局は放射性核種汚染に関する食品のモニタリングをすでに開始している。
食品はどのようにして放射能を帯びるのか。
・ 原子力または放射線緊急事態の結果として、食品は放射性物質に汚染される可能性がある。果物や野菜、または家畜飼料といった食品の表面は、空気または雨水を介して降りかかる放射性物質の沈着によって放射能を持つ。時間が経つにつれ、放射性核種は土壌から農作物や動物へ、魚介類が放射性核種を吸収する恐れのある河川、湖および海へと移行するため、放射能は食品の内部にも構築される。リスクの重大度は、放射性核種の混合割合および放射された汚染物質のレベルによって異なる。
・ 放射能は、包装された食品を汚染することはない。例えば、缶詰やビニールで包装された食品は、その食品が密封されている限り防護されている。
汚染された食品の消費による潜在的な健康影響とはどのようなものか。
・ 放射性物質に汚染された食品は、一見被害を受けたようには見えないが、そうした食品を消費することによって被ばくする放射能量が増加し、被ばくによって生じる健康リスクが増加する恐れがある。例えば、そうした食品を消費することで将来的にある種のがんの有病率が高まる恐れがある。個々の臓器への厳密な影響は、どの放射性核種が摂取されたか、および摂取された量によってさまざまである。
・ 原子力発電所のごく周辺におり、汚染された農産物や畜産物を消費したと思われる場合
は医師の治療を受けるべきである。
原子力緊急事態が起きた場合、食品の消費者および生産者に対してどのような助言ができるか。
・ 放射能を伴う緊急事態への対応は、あらゆる有害物質の食品汚染を伴うあらゆる緊急事態と同一であるべきである。緊急事態の初期段階では、安全に実施できるのであれば迅速な措置を取り、放射性物質による食品汚染を予防または最小限に抑えることができる。
例えば、以下のことが可能である。
・ 栽培中の野菜および家畜飼料をビニールシートまたは防水布で覆うことによって防護する。
・ 家畜を牧草地から戻し、納屋または家畜小屋に移す。
・ 熟した農作物はすべて収穫し、覆いをかける。
・ 深刻な汚染が確認された地域では、その他にも以下をはじめとする短期、中期および長期的な多数の措置を検討する必要がある。
・ 地元で生産された牛乳または野菜の消費の回避
・ 家畜の食肉処理の回避
・ 漁業、狩猟、またはきのこ類やその他山菜の採集の回避そのほかの情報は以下で見ることができる。
http://www-naweb.iaea.org/nafa/emergency/index.html.
国際貿易において食品に含まれる放射能に関する規則はあるか。
・ 原子力または放射線緊急事態後の国際貿易食品における放射性核種レベルについて、国際的な合意を得たガイドラインレベル(Guideline Levels:GLs)が定められている。このガイドラインレベルは、FAOおよびWHO共同のコーデックス委員会が発表するものである。
http://www.codexalimentarius.net/web/more_info.jsp?id_sta=17
・ このガイドラインレベルを下回る食品は人が食べても安全である。ガイドラインを超えている場合、各国政府はその食品が当該国の領域内または管轄区域内で流通するのを認めるべきか否か、またどのような状況に基づくべきかを判断しなければならない。
WHO の対応 原子力緊急事態における WHO の役割とは何か。
・ WHO は、世界保健機関憲章および国際保健規則に従い、公衆衛生リスクの評価および放射線事象によって必要とされる事象を含む公衆衛生事象に関する技術援助の提供を命じられている。その中で、WHO は独立した専門家および他の国連機関と協力を図っている。
・ WHO の業務は、放射線緊急医療における 40 以上の専門機関から構成される世界的ネットワークに支えられている。このネットワークである放射線緊急医療準備・支援ネットワーク(Radiation Emergency Medical Preparedness and Assistance Network)(REMPAN)は放射線緊急時の準備対応に関する技術支援を提供するものである。
1急性放射線症(ARS)は 1Sv(つまり、バックグラウンド放射線に対する年間線量の約 300倍)を越える全身線量が見られた後に発現することがある一連の兆候および症状である。これは、血液細胞が生成される骨髄の損傷に関係するものである。さらに高い線量(10Sv以上)では、他の臓器(胃腸、心臓血管など)も影響を受ける恐れがある。
WHOサイトの原文:http://www.who.or.jp/index_files/FAQs_Japan_nuclear_21_March_JPN2_J.pdf